数理・データサイエンス・AI (応用基礎レベル)の授業実践

教育プログラム

概要

DX推進計画の特徴は、医療系大学である本学において、AIを学生参加型で内製し、医療人を目指す学生の視点に立った学修者本位の学修支援を図る点です。DX推進計画に従って、医療系大学での学生参加型AI開発を目指して、学生がAI開発に参加する授業科目「医療データサイエンス入門Ⅰ・Ⅱ」を2022年度から開講してきました(薬学部、歯学部、心理科学部、リハビリテーション科学部)。2023年度には、2022年度での開講学部に加えて、新たに、医療技術学部において、両科目を選択科目として開講します。(2022年度版の授業紹介のページはこちらです

文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラムス 応用基礎レベルプラス(学部・学科単位)・医療技術学部」への選定(2024年9月2日)

北海道医療大学では、全国の医療系大学に先駆けてデータサイエンス教育を導入してまいりました。令和3年度には、文部科学省による認定制度である「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム(MDASH)」のリテラシーレベルに認定され、認定を受けた教育プログラムの中から、特に優れたプログラムとして、リテラシーレベルプラスにも選定されています。本年度は、リテラシーレベルプラスに加え、医療技術学部における教育プログラムが応用基礎レベルに認定され、さらに、応用基礎レベルプラスにも選定されました。

(認定の有効期限:令和11年3月31日まで)

以下、文部科学省公表資料より

プログラム名

北海道医療大学データサイエンス応用基礎プログラム(医療技術学部)

各大学等の特性に応じた特色ある取組

臨床検査分野で活用されているAI技術の1つである画像認識・物体検出などの認識技術に着目し、模型都市を教材とした演習を行うなど、医療技術に特化した授業を効果的に展開している。また、学生参加型AI開発を実施し、学生ならではの発想を取り入れながら学内で利用するAIサービスの内製化も進めている。さらに、医療系学部特有のカリキュラムを考慮し、本プログラムを初年次開講するといった、学生に寄り添ったプログラムとなっているなどの特色がみられる。

MDASHリテラシーレベルと応用基礎レベル(大学等または学部・学科)の両レベルでプラスに選定された大学は、北海道の私立大学では本学のみとなります(2024年8月時点)。

認定を受けた教育プログラムの中から、特に優れたプログラムがリテラシーレベルプラス、応用基礎レベルプラスとして選定されています。

令和6年度は、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度審査委員会」による審査の上、新たに、応用基礎レベル100件が認定され、認定(既認定を含む)された教育プログラムの中から、先導的で独自の工夫・特色を有する「認定教育プログラム(応用基礎レベル)プラス」が6件選定されました(本学を含む)。

当該教育プログラムの名称

(薬学部、歯学部、リハビリテーション科学部では、現在、自由選択科目として開講しています)

プログラムを構成する授業科目

医療データサイエンス入門Ⅰ:授業概要と身に着けることができる能力

 Society 5.0の到来が目前に迫ったいま、医療分野においても、画像認識や医療診断など「数理・データサイエンス・AI」の知識と、それを活用する技能の修得は欠かせない。「医療データサイエンス入門Ⅰ」では、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(MDASH)」認定制度で指定された応用基礎コア「Ⅰ.データ表現とアルゴリズム」と「Ⅱ.AI・データサイエンス基礎」を扱う。また、模型都市を教材として使いながら、ニューラルネットワーク(NN)や畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の原理を修得することで、将来活躍する医療の現場において、数理・データサイエンス・AIを応用するための大局的な視点を獲得する。

教材としての模型都市

模型都市を使った一連の演習課題により、応用基礎コアを学びます。模型都市から取得した実データを使って、データ活用に取り組むまでの前処理に係る労力を実感するなど「手触り感」も含めて学修します。

現実都市ではノイズが多いため意思決定モデルを作るのが難しいのですが、模型都市のノイズはAI教材として手頃な範囲にあるので、意思決定モデルを作ることが可能となります。また、VRゴーグルをつけることで、あたかも、模型都市の中に入り込みながら演習課題(下記のミッション)に挑むことができます。

1)     気温、室温、光量などのIoTセンターから環境データをAIに取り込んでモニターを制御する

2)     超音波センサーとAIを組み合わせて、ロボットを目的地まで安全に移動させる

3)     AIによる画像認識・物体検出の技術を組み合わせて、状況に応じで、自分がどのように行動するのかといった意思決定の推論モデルを作る(実社会に生じる医療・福祉に関わる行動を意識)

医療データサイエンス入門Ⅰ:演習課題

【データ表現演習(1~3回目)】

模型都市に付置されている人型模型(住民)の身長、 胸囲、腹囲などの計測データの基本統計量を算出した り、模型都市の画像を符号化・データ化をしたりしな がら、データ表現のスキルを修得する。 

【データサイエンス基礎演習(4~6回目)

 模型都市に設置したIoTデバイスから取得した時刻、 温度、湿度、光量などの多項目の環境データを使って、データ分析やデータ可視化(ヒートマップ、等高 線、3次元グラフ、クラスライブラリ)のスキルを修 得する。 

【プログラミング基礎演習(7~9回目)】

 模型都市に配置したロボットをプログラミングで制御 したり、IoTから取得したセンターデータに従ってロ ボットをライントレースさせる。 

【ニューラルネットワーク基礎演習(10~12回目)】

 模型都市から取得できる計測データや環境データなど を使いながら、NNを活用するスキルを修得する。 

【畳み込みニューラルネットワーク基礎演習(13~15 回目)】

 模型都市の画像を学習させたCNNモデルを使って人型 模型や建築物の画像を認識をするなどしながら、CNN を活用するスキルを修得する。 

医療データサイエンス入門:授業概要・授業概要と身に着けることができる能力

医療分野においても重要となる「数理・データサイエンス・AI」を使いこなせる技能を修得する。「医療データサイエン ス入門Ⅱ」では、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(MDASH)」認定制度で指定された応用基礎コア「Ⅲ .AI・データサイエンス実践」を扱う。模型都市を教材として使いながら、データエンジニアリングにおけるデータ収集・加 工、学習、評価といった一連の流れを修得する。また、模型都市を対象とした「データ・AI活用 企画・実施・評価」の実践の 場を通じて、数理・データサイエンス・AIの活用における一連のプロセスの理解を深め、人や社会にかかわる具体的な課題の 解決に活用できる能力を修得する。 

医療データサイエンス入門:演習課題

【ニューラルネットワーク演習(1~3回目)】

 模型都市に付置した人型模型の計測データや模型都市 の環境データと、自ら実装したNNモデルを使いながら 予測・判断を行う。 

【ディープニューラルネットワーク演習(4~6回目)】 

模型都市に付置した人型模型の計測データや模型都市 の環境データと、KerasによるDNNモデルを使いながら 予測・判断を行う。 

【畳み込みニューラルネットワーク演習(7~9回目)】 

模型都市の人型模型や建築物の画像データと、Keras によるCNNモデルを使いながら画像認識技術のスキル を学ぶ。 

【AI・データサイエンス実践(データエンジニアリ ング基礎)演習(10~12回目)】 

画像・動画像処理ライブラリ(OpenCV)を使って、模型 都市のVR映像から取得した動画像や静止画像に対して 輪郭抽出、特徴抽出、色検出などを行いながら、デー タ収集・加工、学習、評価といった一連の流れを修得 する。 

【AI・データサイエンス実践(データ・AI活用 企画・実施・評価)演習(13~15回目)】 

物体検出ライブラリ(YOLO)とアノテーションツール (LabelImg)を使って、模型都市のVR映像から取得した 動画像や静止画像に対して物体検出を行いながら、数 理・データサイエンス・AIの活用における一連のプ ロセスの理解を深める。模型都市から得られる実デー タを使用することで、データ活用に取り組むまでの前 処理に係る労力を実感するなど「手触り感」も含めて 学修する。また、4~5名程度の履修学生がグループ になってアノテーションを行って、グループ毎の観点 から物体検出モデルを作り、最後に、オンライン上 で、各グループで制作した物体検出映像を発表し合 う。 

履修案内登録

教育の質を向上させるための体制・計画

「DX推進計画・数理・データサイエンス・AI教育プログラムに関わる点検・評価」に関わる自己点検・評価を行っています

本教育プログラムについての学内(教職員・学生)を対象とした質問フォームです(学内専用:本学のアカウント認証がされます)

本教育プログラムの教育改善の方法や効果については、随時、関連する学術会議などで報告します。

北海道医療大学 情報センター・情報推進課

お問い合わせ先:情報推進課 ips(at)hoku-iryo-u.ac.jp